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私は私のお母さん第5話『恋バナそして……(中編)』

  • 2019年9月14日

「えーと、何から話していいのやら……」
いきなり出だしで口ごもってしまう。
それはそうだ。そもそも、私は人と話すのが、それほど得意ではない。
そんな私が、恋バナなどというハードルの高い話を、すらすら出来る訳がないのだ。誰かが上手に訊き出してくれないと。
そう思って、みんなの顔を順番に見ていく。
さして重要ではないかもしれないけれど、席の配置及び各人について説明しておこう。
今、私が座っているのが、入口から向かって左手の1番奥の席。
私の右手が、ユミこと高橋裕美おっぱい星人、いや、違う!、いや、違わないんだけれど、世間一般では高橋裕美たかはしひろみ的な呼ばれ方をしている。
とにかく、隙あらばとばかりに私の胸を狙ってくる。どうせ揉むなら大きい方が良かろうに。
何故だか、私の慎ましやかな胸ばかりを触りたがる。いや案外、本気で私のバストサイズを心配してくれているのかもしれない。少しでも大きく育つ様に丹精込めて育はぐくんでくれているつもりなのかもしれないが、余計なお世話である。
自身は、それなりに立派なモノをお持ちである。顔は綺麗というよりは可愛い系であるが、クラスでも1、2位を争う美少女と言えよう。肩より少し長い程度の髪を即頭部後ろ辺りで結んでツインテールにしている。
男子受けは良いはずだが、本人は男子に対して辛辣しんらつな態度を取ることが多く、よほど面食いなのだろうと推測される。
私の正面に座っているのは、チコこと、三ヶ月智子みかづきともこ
中学からの親友で、同じく中学からの文芸部仲間でもある。ちょっぴりえっちな話題にも興味津々なご様子であるが、まあ思春期の少女だとこんなモノだろう。
私から見て、チコの右手側に座っているのが、ヤサコこと坂下優子さかしたゆうこ
大学生のカレシを持つおませな美少女である。ユミとは違って、綺麗系で大人びて見える。既に初体験も済ませていて、カレシとの体験談を明け透けに話してくれる。私たちの先生である。文芸部員でない彼女がここにいるのは、まさにそのためである。

パリパリと、ポテチを貪むさぼる4人の女子高生たち。まあ、私が恋バナを流暢りゅうちょうに話せるなどとは、端はなから思っていなかったのであろう。
ポテチの人気は当初、未知のフレーバーである『りんご🍎』味が1番であったが、すぐに『うすしお』へと人気が移行し、現在は『りんご』の在庫が最も多い事になっている。
スーパーでは、ポテチの『りんご』と『みかん🍊』が山と積まれていた。
一週間後には、あまりの売れてなさに発注担当者は真っ青になる事だろう🍏
『カルピチュ特濃味』を口にしながら、そんな事を考えていると……。
「おゆきは、いつからコーキ部長の事、好きになったの?」
チコの寝耳に水の発言に、口の中の液体を、
「ぶふぉっ!」
と、思いっきり吹き出してしまった★
私が口から射出した白い液体は、ほぼ直進航路を取り、長机3つ分の幅を飛び越え、チコの可憐な顔かんばせへとぶち撒けられた。
「ぶげっ!」
「ちょ、ちょっと!」
「が、顔射、ぶっかけっ……★」
チコ、ヤサコ、ユミのそれぞれが何やら言っていたが、私はそれどころではなかった。まあ、チコの方もそれどころではないことになってしまっている★

(ーーただいま準備中です。しばらくお待ち下さいーー)

「さっきの凄かったーっ。テッポウウオみたいだった☆」
「ゴメンナサイ★ハンセイシテマス……」
チコの言葉に恐縮してしまい、ついカタコトになってしまった。
「これが噂の顔射ってヤツだね♡」
何故かチコは嬉しそうだ。
「いや、それは違う」
「おゆきちゃん、私の顔にもかけて〜」
冷静なヤサコに、何故か涙目のユミ。
チコとユミは態度逆じゃない?
顔にかけられたチコが泣き顔で、ユミがにこにこしてるんだったら腑に落ちるんだけれど?
「さっきの質問なんだけれど、答え聞いてないよ?」
「さっきの質問て、あー、タイムパラドックスについてね。親殺しのパラドッ……」
「そんな話、してなかったよね?」
チコが身を乗り出すようにして、顔を近付けてくる。
私は視線を明後日あさっての方へと逸そらしつつ、
「な、なんの事かわからないにこ?」
と、しらばっくれるが。
「もうバレちゃってるんだから、観念したら?」
そうヤサコに言われ、残ったユミの方へと顔を向けると。
「お願い、顔にかけて〜?」
チワワかと見紛みまがうようなうるうるぱっちりお目々で懇願こんがんされた。
イラッとして、濃硫酸でもかけてやろうかと、思考の片隅で、細ささやかで慎ましやかに思ったのだけれど。
大きく1つ、ため息をついて。
「はっきり意識するようになったのは、去年の文化祭の後ね……」
観念した私は、話し始めた。

「星雲賞取るつもりで書いた自慢の力作が、不人気部門堂々1位で落ち込んでたんだよね」
「あったね〜、そゆこと」
「うん、でね。自信を無くしちゃったんだよね」
「いや、高校生に『ちょげむ理論』だっけ?あれは難し過ぎたんじゃないかなあ?」
「超弦理論ね。確かにチコの言う通りだと、今は思う。
でも、当時は本気で星雲賞取れるんじゃないかと思ってたし、みんな面白いと思ってくれるんじゃないかって……。
ひょっとしたら、誰か質問して来るんじゃないかって、説明用シート3枚も作って、ファイルに入れて毎日学校に持って来てたんだよ?」
「あ〜……」
話していて、当時の寂しさや悔しさが込み上げてきた。やばい。涙腺が緩んできたのを感じる。
でも、こんな事で泣く訳にはいかない。
「しばらくして、文芸部で集計結果が出て最下位だって……★
その日、私、ここで泣いてたんだよ。だって、ユミとかショーマ君とかの……」
言葉に詰まって、俯うつむいてしまう。後悔していた。ここは端折はしょって話すべきだった。最下位という事実だけなら、なんとかやり過ごせる。笑って、
『あの時は、めっちゃ落ち込んだよ♪』
とか言って、誤魔化せる。
でも、最下位になって、悔しくて泣いたなんて事まで話してしまっては、誤魔化しが効かない。ますます、自分が惨めになってしまう。
涙腺が決壊して、俯いた状態だったから、涙が直接机にぽとり、と落ちる。
最悪だ★タイムリープしたい、やり直したい。
でも、もし今、タイムリープして30分前に戻ったとしても、私の気持ちに整理がついていない。惨めな気持ちを伴ったままでは、上手くやり直せる筈がない。
心は30分前に戻らないのだ。経験則に従うと、30分前に戻ってやり直すと、却って酷い状態になる可能性の方が高い。
静寂しじまが時空を制覇する。誰もが凍り付いたように動かない。動けない。
『これじゃ私は、ホンモノの雪女のお雪だ』
自虐的にそう言ったら、みんな笑ってくれるかな?いや、きっとますます、場を凍り付かせてしまいそうだ。
「ごめん……」
右隣から声が聞こえた。ユミだ。
いつもはふざけて莫迦ばっかりやっているユミが、真面目に、神妙に、一言『ごめん』だ。
大切な友人に、そんな言葉を言わせてしまった★もう、惨めだ何だと落ち込んでいる時代ではない!
右手の甲で、両目の涙を拭いつつ、
「やだな〜、ユミちゃんは悪くないよ。それでね……」
話を再開させた。
「独りで泣いていたらさ、部室のドアが開いて、人が入ってきたんだよ。
私その時は、そこの席で入口に背を向けて座っていてね……」
入口近くの席を指差す。
「その人は、私の隣に座ったんだ。コーキ部長だった」
ようやく私の想い人が舞台に現れて安堵したのだろう。部室内の空気が和らいだ気がした。
ここで私は、わざとゆっくりとした動作で、カルピチュ特濃味のペットボトルのフタを開け、喉を潤した。
そして、みんなの顔を見回して、
「そんなに真剣に聞かれると、話しづらいよ?みんな、食べて、食べて!」
と言って、無意識に目の前の、ポテトチップスりんご味を1枚摘つまんで、ユミの口元へと持って行った。
ユミはすぐに食いついてくるかと思ったけれど、口を一文字に結んだままだった。かくなる上は。
「はい、ユミちゃん、あ〜ん♡」
驚いたような目をしつつも、口を開けるユミ。ポテチを口元へと持って行くと……。
ぱくり。
ユミが食べた。安心して、指先を舐めつつ、
「ほら、みんなも食べてったら!静かだと話しづらいって言ってるでしょ!」
と、私的には最大限に明るい口調で促した。
と、なんで?
ユミの顔が、恋する乙女のように真っ赤だ。律儀に、りんご🍎の真似でもしてるんだろうか?🐗🐈🐄
まあ良いや。恥ずかしついでにサクサクッと、コーキ君の話もしておこう。
「私の隣に座ったコーキ君は、なんて言ったと思う?」
「『なんて』って、そりゃ〜、『そんなに落ち込むな』とか、『また来年があるさ』とか、そんな感じ?」
「『僕は君の書いた小説、好きだよ』みたいな事?」
「うーん、そうねえ。『この手のアンケートでは、ウケ狙いの作品の方が上位に来やすいから、真剣に捉え過ぎない方が良い』みたいな事じゃないかな?」
チコ、ユミ、ヤサコが答えてくれたが。
「はい、全員ぶっぶーですわ★
コーキ君が言ったのはね……」
話しながらも、私の意識はあの時空へと想いを馳せていた。

急に部長のコーキ君こと、河野弘毅こうのひろき君が隣に座ったモノだから、びっくりしてしまった。
私の目の前に、ホットの缶コーヒーが置かれる。そっと、音を立てないように。
弘毅君とは、それまで一度も2人きりで話し合った事なんてなかったのに。
もちろん、慰めてくれようとしてるのはわかったよ?でも、下手に慰められたら却って惨めになっちゃう。
「慰めてくれるおつもりでしたら、間に合っています!」
私は敢えて、強い口調で言った。
「慰める?いや、なんのことやら」
白々しい言葉が返ってくる。
「私、もう帰ります」
勢いよく立ち上がるが。
「もし構わなければ、その缶コーヒーを飲み終わるまでの時間を僕にくれないかな?」
少し困ったような口調で言われて、帰りづらくなった。
弘毅君は、善意でしてくれているのだろう。それを、如何に的外れだとはいえ、邪険にするのはどうかと思ったのだ。
急いで、ハンカチで涙を拭き、座りなおす。パイプ椅子のギシッという音が、やけに大きく聞こえた。
「飲み終わるまでですよ?」
弘毅君の顔を見て言った。困り顔に見えた彼の顔が、ニパッっと笑顔になる。
「ご馳走になります」
と礼を言って、缶コーヒーに手を伸ばす。熱っ!猫指猫舌の私では、触れないくらい熱かった。これは冷めるまで少し時間が掛かりそうだ。
「えーと、小雪こゆきさんで良いのかな?名字で呼ぶのはちょっと……」
「おゆきと読んで頂けますか?小雪こゆきはちょっと恥ずかしいので」
「オーケー、オーケー。じゃあ、こゆきさん。単刀直入に言うけれど!」
ん?なんだか違和感。
「僕は暗黒物質ダークマターだと思う!」
「はっ?」
一瞬、意味がわからなかった。
『ボクハ ダークマター ダトオモウ!』
弘毅君の身体は、暗黒物質ダークマターで構成されているとでも言うの?
「おゆきさんは、ダークエネルギーじゃない?」
ここまで聞いて、ようやく弘毅君の言いたい事がわかった。私の書いたタイムトラベル小説についてだ。
「弘毅君は、私の小説内で登場するタイムマシンが通るための、ワームホールの出現させるためのエキゾチック物質について発言されているのですね?」
私の言葉に、弘毅君はニヤリと形容出来そうな不敵な笑みを浮かべた。
「ふふ、さすがはおゆきクンだね?エキゾチック物質にダークマターを活用するという記述を目にした事があるんだけれど?」
「そうですね。ですが私は、敢えてダークエネルギーを取り上げてみました。それというのも、ダークマターの正体は、『ウィンプ』『マッチョ』『ハロー』などが挙げられていますけれど、未だ決着がついておらず、また、『余剰次元から吾々の次元に作用しているのではないか』との見解も、目にした事があります。
そのような、不確実でよくわかっていないモノを取り入れた場合に、早ければ数年の内に、現実社会で否定される可能性が出てくるかもしれません」
「ヒッグス粒子に重力波の検出。それに、ブラックホールの撮影にも成功したらしいしね♪」
「よくご存じですね。
ハーバード大学の理論物理学者リサ・ランドール博士の見解によると、余剰次元の兆候は10年とか20年とか、それくらいで捕らえられるのではないかとの事です。
なので、ダークマターのような、わからないモノを安易に記述すれば、すぐに作品が陳腐化ちんぷかしてしまう恐れがあると考えられたのです。その点、宇宙の斥力せきりょくダークエネルギーは、その正体が『真空それ自体が持つエネルギー』なのではないかとの見解が有力で、また、『斥力』というチカラ自体が、エキゾチック物質にぴったりだと考えた訳なのです」
「なるほど、それは興味深い。では次の質問に移らせてもらうよ。タイムトラベルでは……」
驚いた。私の小説理論についてこられるなんて思ってもいなかった。何故なら、私の依りどころとしているのは、SF小説に出てくる知識ではなく、現実の理論物理学の最先端の知識を応用したモノだったから、そこについてこられる高校生が、こんな身近にいるとは夢にも思わなかったからだ☆
私は興奮こうふんし夢中になって、自らの見解を述べていた。
弘毅君に促されて缶コーヒーに口をつけた時には、猫舌の私がそのままでも飲めるくらいまで温度が下がっていた。

「でね、弘毅君と話してると、凄く楽しかったの♪この時思ったんだよね。弘毅君と友達になれたら、すっごく楽しいんだろうなって」
「でも、おゆきちゃんと部長が楽しそうに話してるの見た事ないよ?」
チコの言葉にユミとヤサコも、うんうんと首を縦に振る。
「そうなんだよ〜!その時しか話してないからね。部室で2人っきりになんてなれないし、よそで逢うなんてとんでもない。なんとか、2人っきりでおしゃべりする方法はないかな〜、と様子を探っているうちに、恋に堕ちちゃってた訳なのよ💘」
「そうね。弘毅部長は、顔良し、頭良し、性格良し、運動神経も抜群だからね。うちの学校の男子の中で3本の指に入るわよね」
ヤサコがそう言うんだったら、その通りなんだろう。
「ちょっと高嶺の花かな?」
少し弱気になるも。
「ん〜、大丈夫じゃない?。文芸部だし、目立つタイプじゃないから、競争率は低いと思うわ?それに、弘毅君はおゆきちゃんの事好きなんじゃないかな?」
「えっ?ホントに♪」
思わず声が弾んでしまう。
「これは、女の勘なんだけれど。うふふっ♪この夏は、おゆきちゃんもヴァージン卒業ね♡」
「えっ、あっ、はいっ!ヤサコ先生。よろしくお願いします」
思わず、立ち上がって頭を下げていた。

恒例なの?次回予告
おゆきこと、小雪です。って、まだ名字出てきてない!
どういう事なの?知らないうちに妊婦にんぷさんにされてるし。
それにそもそも、この次回予告ってこの小説の次回を予告してない気がするのよね〜。
まあ、良いけど。

さて来週は。
どうやら、子供の頃に体験したあれやこれやが、今度は母親の立場で繰り返されているみたい。
もしそうだとすると、やがて娘は私の元からいなくなる?
次回『繰り返される歴史』をお楽しみに♪


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